先進国での販売減り... バイク新戦略
日本など先進国での販売減に悩むバイク各社が新戦略をスタートさせている。ホンダは新興国からの逆輸入や部品調達でスポーツバイクの低価格化を宣言。ヤマハ発動機は電動バイクで世界のトップシェアを目指す構えだ。自動車同様、「低価格」「環境」がバイクでも新たなキーワードとなってきた。
◇400の変
川崎重工は八月一日から米国で人気のスポーツバイク「Ninja(ニンジャ)」の四〇〇ccモデルを国内に投入する。同社は「リーズナブルな価格は幅広い年齢層に支持されるだろう。四〇〇ccクラスでのトップセールスを狙える」と期待する。車体全面に風防を装備した「フルカウル」モデルで価格は約六十五万円。国内他社の競合モデルに比べ二十万円程度安い。
低価格を可能にしているのはタイからの逆輸入によるコスト削減。受注開始から二週間で年間販売計画の四割に当たる約六百五十台の注文が殺到した。
これまで四〇〇ccでは教習所で使われているホンダの「CB400」シリーズが圧倒的なシェアを誇ってきた。ホンダ側は「ニンジャの価格は脅威。一時的にはCB400の販売台数を超すだろう」と警戒を強める。
◇方針転換
近年、バイクの価格が上がってきたのは、強化された排ガス規制に対応するため改良を行ってきたからだ。四〇〇cc以上では規制前の二〇〇六年と比べると、同じ機種でも改良後は七万~十万円程度値上がりし、バイク離れに拍車をかけた。
さらに一昨年秋の金融危機以降、趣味性の高いスポーツバイクの先進国での需要は激減。二五〇cc超のバイクの国内販売台数は、〇八年の約五万台から〇九年は55・5%減の約二万二千台まで落ち込んだ。
「アジアの競争力を活用し、魅力ある商品を低価格で提供することで市場を活性化させる」。ホンダの伊東孝紳社長は二十日の記者会見で、今後は先進国向けのスポーツバイクの部品を中国などアジアから調達する方針を発表。さらに秋にはタイで新型スポーツバイクを発売し、世界に展開する。
ホンダが最近発売したスポーツバイクは排気量が一二〇〇cc程度、価格は百万~百七十万円の高額モデルが並んでいた。低価格化の新方針について伊東社長は「従来の高出力に特化したモデルとは違い、扱いやすく求めやすい商品を目指す」と説明した。
◇新たな競争
一方、ヤマハ発は先進国向けのスポーツバイクはモデル数を絞り込み、環境に力を入れる戦略だ。まず電動バイクを国内で九月に発売し、来年には欧州にも投入。柳弘之社長は「将来は世界でトップシェアを目指す」と意気込む。
ホンダも今年十二月に業務用電動バイクの販売を開始するほか、来年には保有台数一億二千万台といわれる中国の「電動自転車」市場への参入を表明。伊東社長は「電動化でも二輪車のマーケットリーダーになる」と一歩も引かない構えだ。
しかし、逆に"電動二輪先進国"の中国メーカーも日本市場への参入の機会をうかがっている。電動スクーターの対日輸出を始めた中国の新興メーカーのトップは「技術ではホンダやヤマハに及ばないが、価格面で中国製を求める消費者もいる」と、日本で電動バイクの人気が高まれば新たなビジネスチャンスになるとみている。
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